SE138
USPに基づく細胞毒性試験(Elution Test)について
細胞毒性試験は化学物質や医薬品容器等の安全性評価に有効であり、生物学的評価において重要な試験となっています。米薬局方(United States Pharmacopeia、USP)においては、<87>Biological Reactivity Tests, In Vitroの項にいくつかの定性的な細胞毒性試験が掲載されています。ここでは、USPに基づく細胞毒性試験のうちElution Testについて紹介します*1。なお、細かな点は異なりますが、類似の方法は国際規格であるISO10993-5にも掲載されています*2。Elution Testの概要を図1に示しました。毒性の判定は培養後の状態を観察し、各グレードに分類して行なわれます(表1)。試験が適切に行われたかどうかは、対照材料を同時に試験して確認します。弊社での実施例として、対照物質ZDBCの各濃度での結果を図2に示しました。ZDBCの濃度を細かく振って試験を実施した結果、Elution Testにおける反応性グレードがすべて観察されました。
*1 United States Pharmacopeia 39, NF-34, 2016, <87> Biological Reactivity Test, in vitro, Elution Test
*2 ISO10993-5 "Biological evaluation of medical devices Part 5: Tests for in vitro cytotoxicity"
図1:Elution Testの試験手順概要
グレード | 反応性 | 培養後の状態 |
---|---|---|
0 | None | 細胞質顆粒が分散、細胞の溶解なし |
1 | Slight | 20%以下の細胞に円形化及び軽い接着が認められ、細胞質顆粒がなく溶解した細胞が散見される |
2 | Mild | 20%より大きく50%以下の細胞に円形化が認められ、細胞質顆粒を欠き、広範囲に渡る細胞溶解及び細胞間空隙はない |
3 | Moderate | 50%より大きく70%未満の細胞単層に円形化細胞が認められる、または溶解している |
4 | Severe | 細胞単層のほぼ完全な崩壊 |
図2:ZDBCの各濃度での結果