SE131
umu試験における最高用量の設定について
現在、umu試験は主に2つの用途で実施されています。1つ目はAmes試験で測定が不可能なヒスチジン含有物質、例えば、尿・血液・粗抽出物・食品等の変異原性の確認に、2つ目は微量試料での試験が可能であることから、有用化学物質のスクリーニングに多く用いられています。
umu試験については一般にGLPとして実施される試験のようなガイドラインが存在しないため、最高用量等に関して規定はありません。そこで、先に述べたAmes試験が適用できない試料について、当施設では可能な限り高い濃度の最高用量を設定しています。一般にこれらの試料は水溶性が高く、変異原性を示すことも少ないことから、より高い用量を設定することで、変異原性の検出感度が高まり、高い安全性を保証することが出来ます。
一方、スクリーニング目的の化学物質の試験についても同様の考え方が出来ますが、一般的に有用物質の候補となる有機化合物は水溶性が低く、マイクロプレート法によるumu試験では反応液中に沈殿が生成することもあり、最高用量は低いものとなります。
なお、いずれの用途につきましても、反応液中に沈殿が生成あるいは試料による反応液の着色により吸光度測定に影響がある場合は、その用量については評価から除外し、それ以下の用量について評価します。
- a.水溶性の高い試料の用量設定例
- 500mg/mlの水溶液を調製し、水にて公比2で段階希釈、これをマイクロプレートに10µl/ウェルずつ分注(最高用量5mg/ウェル)
- b.水溶性の低い試料の用量設定例
- 100mg/mlのDMSO(100%)溶液を調製し、水にて10倍希釈、さらに10%DMSOにて公比2で段階希釈、これをマイクロプレートに10µl/ウェルずつ分注(最高用量0.1mg/ウェル)
写真:着色した反応プレート(左3、4列、下3行)