SE098
遺伝毒性試験に関する各種規制
遺伝毒性試験(変異原性試験)に関する法規・ガイドラインを「Ames試験」、「染色体異常試験」、「小核試験」別にまとめました。各規制によって試験の組み合わせ・利用法が異なりますのでご注意ください。
規制 | 対象物質 | Ames 試験 |
染色体 異常試験 |
小核試験 (げっ歯類) |
コメント |
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安衛法 | 化学物質 (>100kg/年) |
○ | △ | × | 年間製造量100kg以上の化学物質が対象。 安衛法GLPでの試験実施が望ましい。 Ames試験で陽性、且つ比活性が1,000以上の場合、染色体異常試験を考慮。 |
化審法 | 化学物質 (>1t/年) |
○ | ○ | △ | 年間製造・輸入量1t以上の化学物質が対象。 但し、10t以下は特例措置あり。 化学物質GLPでの試験実施が望ましい。 試験は、分解度試験、濃縮度試験、スクリーニング毒性に関する試験、生態毒性試験から構成。さらに、スクリーニング毒性に関する試験は、(1)Ames試験、(2)染色体異常試験、(3)ほ乳類を用いる反復投与毒性試験からなり総合的な判断がされる。 (1)(2)のいずれかで陽性の場合は小核試験を追加。染色体異常試験はMLAで代替可。 |
REACH規制 | 化学物質 (>1t/年) |
○ | △ | × | 年間製造・輸入量1t以上の化学物質が対象。 OECD-GLPでの試験実施が望ましい。 (>10t及び >100t/年も同様) Ames試験で陽性の場合、ほ乳類細胞を用いた試験の追加を考慮。 |
化学物質 (>10t/年) |
○ | ○ | △ | 年間製造・輸入量10t以上の化学物質が対象。Ames試験及び染色体異常試験が陰性の場合はMLAを追加、いずれも陽性の場合は適切なin vivo変異原性試験を考慮。 |
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化学物質 (>100t/年) |
○ | ○ | △ | 年間製造・輸入量100t以上の化学物質が対象。Ames試験及び染色体異常試験がいずれも陽性の場合、適切なin vivo 体細胞遺伝毒性試験を提案。 | |
薬事法 | 医薬品 | ○ | ○ | ○ | 医薬品GLPでの試験実施が望ましい。 試験は、品質試験、有効性試験、安全性試験から構成。安全性試験の内、遺伝毒性試験は2つの標準的組合わせオプションからいずれかを選択。染色体異常試験はMLA、in vitro小核試験、in vivoコメット試験などに代替可。In vivo遺伝毒性試験は、反復投与試験に組込み可。その他必要に応じて追加試験あり。 |
医薬部外品 化粧品(原料) |
○ | ○ | △ | 医薬品GLPでの試験実施が望ましい。 | |
食品衛生法 | 添加物、酵素 | ○ | ○ | ○ | 医薬品GLPでの試験実施が望ましい。 |
特定保健食品 | ○ | △ | △ | GLP相当の要求。 |
- ○:必要項目、△:追加項目、×:必要なし
- MLA:マウスリンフォーマ試験 (mouse lymphoma assay)