X110
面内回折法による表面構造解析(1)
物質のX線に対する屈折率が僅かに1よりも小さいため、極めて低い照射角(αi)で入射したX線は、臨界角(αc)以下で全反射されることになります(下図参照)。SiのαcはCuKα線(λ=1.54Å)に対して0.23deg.です。このとき試料の非常に浅い部分(数nm)を試料表面に沿って平行に走るX線の成分が現れます。従って、もし試料表面に垂直な回折面がこのX線に対しBragg条件を満たすならば、実際にBragg回折が起こり回折X線は再び試料表面すれすれに出て行きます。これが面内回折X線で、この方法を面内(In-Plane)回折法といいます。これにより通常の方法では測定できない薄膜の表面に垂直な回折面による格子定数や結晶性を直接評価することが可能となります。
図1:面内回折法による表面構造解析
試料 | シリコン(111)基板 |
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装置 | 理学電機製 ATX-G型 表面構造評価用多機能X線回折装置 |
下記にシリコン基板の通常(Out of Plane)回折法と面内(In-Plane)回折法の測定結果を示します。通常の方法では評価できない表面に垂直な回折面が測定できています。
図2:シリコン(111)基板のOut of Plane回折およびIn-Plane回折測定チャート