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S535

走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いた導電パス解析

走査型プローブ顕微鏡(SPM)の機能の一つにトンネリングAFM(TUNA)があります。これはプローブと試料間に電圧を印加し、スキャン中の電流を測定することで試料表面の導電性分布を得る手法です。また、任意の測定点において、電圧を掃引しI-Vカーブも取得可能です。その測定例として、リチウムイオン電池(LiB)負極の模擬試料を測定した結果を示します。
導電性マップおよびI-Vカーブを図に示します。マップからSiとカーボン粒子の導電性の差異が明確に認められます。さらにマップおよびI-Vカーブ(▲印)からSi粒子①の方がSi粒子②よりも導電性が高く、同じ電圧でも多くの電流が流れることが分かります。Si粒子間の差異は、カーボン粒子による導電パスの差異を反映している可能性があります。

グラフ:疑似LiB電極断面の導電性マッピング(30マイクロメートル角)と各測定箇所でのI-Vカーブ

図:疑似LiB電極断面の導電性マッピング(30µm角)と各測定箇所でのI-Vカーブ

LiBが性能を十分発揮するためには集電体から活物質まで導電パスがつながっている必要がありますが、充放電に伴う体積変化によってパスが切れてしまうことがあり、これが劣化の一因であることが知られています。この手法はそのような劣化現象の分析に有用と考えられます。

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