S453
コロイド粒子のTEM観察
固体高分子型燃料電池用カソード触媒として、通常Ptが主に用いられていますが、Pt使用量低減や活性向上の観点より、Pdの表層にPtを配置した構造を持つ、いわゆるコアシェル型の触媒粒子が注目されています。
ここでは、触媒担体に担持する前のPd/Ptコア/シェル構造を有するコロイドナノ粒子(田中貴金属工業(株)製)を用いて、粒子形状、粒子径分布、コアシェル構造およびPt/Pd組成について、TEMにより調べました。
粒子径分布
TEM写真にて、黒色に見える小さな粒子がPd/Pt(コア/シェル)コロイド粒子となります。球状をした数nmオーダーの粒子が分散しているのが分かります。このコロイド粒子の粒子径を計測し、粒子径分布を求めました。粒径解析の結果、非常に粒度の揃った平均粒子径が約3nmの微粒子であることが分かります。
図1:コロイド粒子のTEM写真(左)と粒子径分布 |
粒子形状観察およびEDS組成分析
暗視野STEM像は高角度に散乱した電子を検出することにより、平均原子番号の2乗に比例したコントラストが得られます。コロイド粒子の暗視野STEM像では、粒子最表面(シェル部)が内部(コア部)よりもコントラストが強くなっています。このことから、コロイド粒子のシェル部は、コア部よりも平均原子番号の大きな元素から構成されていることが考えられます。EDSスポット分析により、シェル部とコア部のPd/Pt組成比を調べたところ、シェル部はコア部に比べ、Ptリッチ組成であることが分かりました。 以上、TEM観察およびEDS分析の結果より、コロイド粒子は、非常に粒度が揃った平均粒子径が約3nmのコア(Pd)/シェル(Pt)構造を有していることが分かりました。 |
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図2:コロイド粒子の暗視野STEM写真 |