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S381

アモルファス粒界構造の解析

材料の物性は、材料を構成する界面の構造に大きく左右されます。このため、界面構造を正確に評価することは、材料を開発する上で非常に重要となります。多結晶材料では、結晶粒子の界面を粒界と呼び、物性に対して重要な役割を果します。最近の材料では、ナノメーターオーダーで界面が制御されているため、その構造は主に透過型電子顕微(TEM)を用いて解析されています。市販水平記録HDD媒体(2001年製、記憶容量41GB)を解析した例を示します。

図1:HDD媒体の平面TEM写真

HDD媒体中のCoPtCrB磁性層の平面TEM写真を図1に示します。結晶粒子の大きさは、5〜20nmと非常に小さいことが分かります。例えば、図中で矢印部分が粒界を表しています。粒界の拡大写真を図2(a)に示します。領域1が粒界で、その厚みは約0.4nmであることが分かります。領域2、3は磁性粒子です。それぞれの領域から求めたFFT(Fast Fourier Transform)を図2(b)-(d)に示します。これより、粒界がアモルファスであると言えます。領域3も同様にアモルファスのパターンを示しています。これは、磁性粒子内部に別のドメインが存在することを示しています。EELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)分析より、粒界のCrとB組成比が高いことが確認されました。以上の結果から、粒界は非磁性のアモルファス構造であると結論できます。これにより、僅か0.4nmの厚みの粒界は、磁性粒子間の相互作用を劇的に低減し、記憶容量の高密度化に大きく寄与していることが分かります。

図2:HDD媒体の粒界の(a)高分解能TEM写真と(b)-(d)FFTパターン

図2:HDD媒体の粒界の(a)高分解能TEM写真と(b)-(d)FFTパターン

Shoda et al., J. Electron Microsc., 54, 1 (2005)

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