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近赤外測定による酒類中のエタノール定量分析

汎用機器であるフーリエ変換赤外分光計(FT‐IR)を用いた酒類中のアルコール含量(特にエタノール)の簡便的な測定方法を紹介します。

水やアルコールなどの一部の化合物しか吸収を示さない近赤外領域(約8,000〜4,000cm-1)における、エタノールの吸収 (約5,895cm-1)の吸光度を測定します。

尚、近赤外領域に存在する吸収は強度が小さいため赤外領域において吸収が飽和状態であっても定量性があり、濃度を上げることや光路長を長くすることが可能です。

以下に市販の日本酒、白ワイン中のエタノール含量を求めた実施例を示します。

標準エタノール水溶液のIRスペクトル

図1:標準エタノール水溶液のIRスペクトル
測定機器 サーモフィッシャーサイエンティフィック製FT-IR Avatar370
測定条件 透過法、分解能4cm-1、スキャン 64回
液体セル(石英ガラス、光路長 1mm)

標準エタノール水溶液から作製した検量線

図2:標準エタノール水溶液から作製した検量線

市販アルコール飲料のIRスペクトル

図3:市販アルコール飲料のIRスペクトル

検量線から求めた定量値

  吸光度
(5,895cm-1
定量値
(%)
平均値
(%)
ラベル表記
(%)
日本酒 0.029 19.6 19.6 20
0.029 19.6
白ワイン 0.014 10.8 10.8 11
0.014 10.8
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