質量分析によるブロムフェナクの構造解析

ブロムフェナクナトリウムは、炎症の原因となるプロスタグランジンの生成を抑制する作用を持ち、結膜炎や瞼膜炎、術後炎症などの点眼薬の有効成分として用いられています。

直接導入質量分析による本化合物の構造解析の例を紹介します。図1にブロムフェナク水溶液のマススペクトル（ESI-MS測定）、プロダクトイオンスペクトル（ESI-MS/MS測定）及び精密質量による組成推定結果を示します。高分解能測定により得られる精密質量からブロムフェナクの組成式を推定し、MS/MSにおけるプロダクトイオンスペクトルから部分構造の解析を行うことが可能です。また、固体試料についても図2に示したASAP-MSにより、ブロムフェナク脱水物イオンから構造情報を得ることができます。

図1：ブロムフェナク（水溶液）のマススペクトル（上）及びプロダクトイオンスペクトル（下）

図2：ブロムフェナク（固体試料）のマススペクトル