O030
高分解能MS測定による抗生物質の分子式決定
−高分解能MS、MS/MSによる構造決定(1)−
原子の質量数は12C=12.0000とすると、他の原子には端数がつきます。従って、同じ整数質量数28をもつCO(27.9949)、N2(28.0062)およびC2H4(28.0313)では分子の質量数は異なります。このような場合、小数第3位以下の差まで識別できる高分解能MS測定により元素の組成を決定できます。TOF-MSにおける高分解能測定の原理を図1に示しました。
測定例として水稲に発生するいもち病用抗生物質ブラストサイジン-Sの高分解能MS測定例を示します(図2)。
図1:高分解能MS測定の原理
図2:ブラストサイジン-SのAPCI-MSスペクトル
質量 | 計算質量 | 質量差 | 推定組成式 |
---|---|---|---|
423.20889 | 423.21044 | -1.55 | 12C171H2714N816O5 |