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曲率を用いた曲面形状の評価
材料を三次元的に見ると、様々な曲面が含まれており、例えば、材料表面や材料内部の界面も曲面です。これらの形状は平面に近いこともあれば、複雑な曲がり具合を含むこともあり、材料特性に影響すると考えられます。
材料表面で平面に近い曲面に特化して評価するには、走査型プローブ顕微鏡(SPM)による表面形状測定が適していますが、材料表面内部や曲がり具合に関わらず曲面を評価するには、トモグラフィ測定が適しています。曲面形状は、曲率という指標で数値化できます。
1. 曲線の曲率
曲線上のある点の曲がり具合は、その点に接触する円で近似でき、曲がり具合が急であるほど、接触円半径Rが小さくなります(図1(a)の点P)。ある点の曲率kは、接触円半径Rの逆数の関係にあり(k = 1 / R)、曲がり具合が急であるほど、曲率kは大きくなります(図1(b)の点P)。
2. 曲面の曲率
曲面を平面で切り出した場合、切り出す平面の向きに応じて様々な曲線が得られます。曲面上のある点の曲がり具合は、これらの曲線の曲率に基づいて評価できます。
複雑な曲面を含む構造として、和菓子の金平糖に注目しました。例えば、X線CT(X-ray computed tomography)測定によって三次元データを取得すれば、その表面上の点ごとの曲率kを求めることができます(図2)。ここから、金平糖の角の根元付近では曲率が大きく、先端付近では曲率が小さい傾向が示唆されます。