M250
STEMトモグラフィによるカーボン担体の細孔径解析
貴金属担持カーボン触媒は細孔を有する担持カーボンを用いて、ナノサイズの貴金属触媒を担体内部にも配置している種類もあります(技術資料「STEMトモグラフィによる貴金属担持カーボン触媒の3D解析(1)」参照)。担体内部の活用のためには、細孔をナノメートルオーダーで解析することが重要となります。
STEMトモグラフィにより、試料Aと試料Bの貴金属触媒、カーボン、細孔をそれぞれセグメンテーション(領域分割)したデータを図1に示します。貴金属触媒を外部粒子と内部粒子に区別して図2に示します。中空構造のカーボンと考えられる試料Aでは内部に貴金属触媒が認められますが、中身が詰まった中実構造のカーボンと考えられる試料Bは内部に粒子は観察されておりません。また、カーボンの空隙率は試料Aが44%、試料Bは6%と求められました。
図1:セグメンテーションデータ(左)試料A、(右)試料B
図2:セグメンテーションデータ(左)試料A、(右)試料B
次に、外部とつながった細孔をクビレ部分で分割した個別細孔を図3に示します。これらの球相当径(同じ体積の球の直径)分布を図4に示します。平均径はどちらも4nm程度になりますが、試料Aでは小さい細孔の割合が高いことが分かります。
さらに、細孔と貴金属触媒との位置関係など局所における解析を行うことで、触媒性能に関わる情報が得ることが可能です。
図3:個別細孔(左)試料A、(右)試料B
図4:細孔球相当径分布(左)試料A、(右)試料B