I221
ICP-MSによる食品中の有害金属の分析
−食品中の微量金属の定量−
食品中の有害金属含有量については、食の安全性確保の観点から把握すべき重要な項目です。また国際食品規格や食品衛生法等において、食品中の有害金属の基準値が設定されているものもあります。本資料では、食品中の有害金属(ヒ素、カドミウム、全水銀、鉛)の分析事例をご紹介いたします。
分析法の概略を図1に示します。ヒ素や水銀などは、加熱により揮散し正確な分析値が得られない場合があります。マイクロ波分解法は、分解容器を密封しマイクロ波を照 射・試料を分解するので、揮散性の高い元素の分析に有効な方法です。
一方、分解・定容後の試料溶液中に含まれる分析目的元素を検出・定量するには、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP-AES)、誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)、原子吸光分析法(AAS)が用いられます。ICP-MSは、溶液中のpg/mlレベルの超微量元素が検出・定量できる非常に高感度な測定手段です。
表1にマイクロ波分解/ICP-MSによる3種の食品中の有害金属元素分析結果を示します。
表1に示したように、最適な分解方法と高感度測定方法を組み合わせることにより、極低濃度域での定量分析が可能です。
試料名 | ヒ素 | カドミウム | 全水銀 | 鉛 |
---|---|---|---|---|
食品A | ND | 0.01 | ND | ND |
食品B | ND | 0.02 | ND | ND |
食品C | 0.02 | ND | ND | 0.02 |
定量下限 | 0.01 | 0.01 | 0.01 | 0.01 |
※ND:定量下限未満