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ダイナミックTG法によるシュウ酸Caの分析
試料が加熱されると共に、熱分解により重量が減少する状況を調べる方法として、熱重量分析 (TGA) 法があります。JIS規格などに定められている等速昇温による測定が一般的ですが、昇温速度により分解温度が変わることが知られています。また、多段階の分解反応では、分離が不十分なTG曲線となる場合も見られます。
これらの問題点を改善する方法として、ダイナミックTG法があります。これは、重量減少速度に応じて温度が制御される方法で、高い分解能の結果が得られます。
図1および図2に、シュウ酸カルシウム水和物を試料として、等速昇温TG法とダイナミックTG法により測定した結果を示しました。シュウ酸カルシウム水和物は、熱分析の標準試料として用いられるものですが、加熱とともに分解してH2OやCO2を発生します。
比較の結果、ダイナミックTG法の分解能が高いことが示されました。
図1:等速昇温TG法による測定結果
図2:ダイナミックTG法による測定結果