C007
分光光度計による拡散透過、拡散反射率の測定(日焼け止めクリームの透過率)
1. 拡散透過、拡散反射測定について
懸濁液試料や不透明な固体試料の透過率、試料表面に凹凸がある反射率は入射した光が拡散されてしまい、一部の光しか検出器に到達しないので正確に測定できません(図1、2)。
図1 透過率測定 | 図2 反射率測定 |
上記のような試料について、積分球装置を用いれば正確な測定が行えます。積分球装置は内壁に高反射素材(BaSO4)を塗布した球体です。この球体内に試料の拡散透過、拡散反射した光の大部分を取り込み多重反射させ検出器に集めることで、正確な測定が可能になります(図3、4)。
図3 積分球装置による拡散透過率測定 | 図4 積分球装置による拡散反射率測定 |
2. 測定事例
透過率の測定事例として日焼け止めクリームの測定を行ったスペクトルを図5に示しました。
積分球装置を使用し測定した日焼け止めクリームの拡散透過率は、紫外領域(200〜400nm)において1%以下、可視領域(400〜800nm)60〜65%、近赤外領域(800〜2500nm)65〜25%でした。
積分球装置を使用しない一般的測定の透過率は、紫外、可視、近赤外領域において1%以下でした。一般的な測定法では、拡散透過した光が検出器にほとんど到達しないため正確な透過率を検出することができていません。
図5 日焼け止めクリームの透過率スペクトルの重ね書
3. 分析装置条件
機種 | 日本分光社製 分光光度計V-770型 |
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積分球付属装置 | ISN923型 |
短光路セル | 光路長0.1mm |
測定波長範囲 | 200〜2500 nm |
試料 | 日焼け止めクリーム |