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C001

NMR法による拡散係数の評価

分子の拡散は並進運動により位置を動かす現象です。位置ごとにパルス磁場勾配(Pulsed-filed gradient : PFG)をかけることで、原子核の核スピンの位相に位置情報を刷り込むことができます。拡散前後の磁場勾配履歴を解析することで、拡散する物質の拡散係数を算出できます。

拡散係数は、磁場勾配の高さを変えてNMR測定し、その高さの変化に対応して変化する測定分子のNMRシグナル強度変化を次式に基づいてプロットすることで算出できます。

  • D:拡散係数(m2/sec)
  • E:シグナル強度、E0:シグナル強度初期値
  • γ:磁気回転比(Hz/T)、g:PFGの高さ(T/m)
  • δ:PFGの長さ(sec)、Δ:PFG間隔(sec)

LiPF6/エチレンカーボネート(EC)電解液の各イオンの拡散プロットです。このように各イオンを個別に評価することができ、各プロットの傾きとしてそれぞれの拡散係数が算出されます。この測定結果は、PF6-およびECは同等の拡散速度であり、Li+はPF6-およびECより遅い拡散速度であることを示しています。これは、LiPF6のイオン解離が大きく、Li+がPF6-とイオン対を形成せずに拡散していることを示唆しています。

  • 観測核 : 1H、19F、7Li、31P、11B〜17O、15N
  • 最大発生磁場勾配強度 : 12T/m以上
  • 試料管外径 : 5mm
  • 温度可変範囲 : -70℃〜120℃
  • 測定限界 : 拡散係数D=1×10-15m2/s

拡散プローブ
【日本電子】

当社は拡散測定専用プローブを所有しています。この拡散専用プローブは、通常測定との兼用プローブに比べ、1万倍遅い拡散速度が測定可能です。さらに、100℃以上という高温下での拡散測定にも対応しています。

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