S510
SEMによるEDS元素マッピング分析時間の検討
新規導入したブルカー・エイエックス製 XFlash®5060FQは、試料直上にEDS検出器を配置する事で、発生X線を高効率・高感度で検出でき、また、4枚の検出器を同軸に配置する事で、等方的に発生X線を検出できる。そのため、元素マッピングの分析時間をこれまでより著しく短縮することが可能となる。
そこで、本装置でのEDS元素マッピングの最適条件(分析時間)の検討を行った。分析試料は金属板を用い、表面の腐食箇所の構成元素を確認するため、EDS元素マッピング分析を行い、最適な分析時間を検討した。結果を以下に示す。
分析時間を30秒、1分、3分、5分、10分の5条件にて元素マッピングをおこなった結果、分析時間30秒、 1分でも検出元素の濃度分布は十分に確認できるが、やや解像度が粗いマップ像となった。次に、3分、5分、10分では、いずれの分析時間においても検出元素の濃度分布を鮮明な解像度で取得できている。
以上の結果から、現行装置(エダックス製Genesis2000)では、元素マッピング分析に約2時間程度の分析時間を要していたが、新規導入装置では、本分析条件にて分析を行うことで、約3〜5分程度の分析時間で、これまでと同等の解像度を持つ元素マッピング結果が得られることが確認できた。
分析領域二次電子像 | 分析時間:30秒 | 分析時間:1分 | ||
分析時間:3分 | 分析時間:5分 | 分析時間:10分 |
図:分析領域のSEM像およびEDS元素マッピング像
分析条件:加速電圧15kV、検出強度135,000cps、測定時間30S、1分、3分、5分、10分