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透過型電子顕微鏡試料作製方法
透過型電子顕微(TEM)は、オングストロームという高い空間分解能で観察し、微小領域の構成元素を分析する装置で、最近のナノ材料の解析には必須の分析装置です。TEM測定する際大事なことは、試料を電子線が透過する厚み(約100nm)に薄くすることです。様々な試料作製方法があり、材料によりまた測定目的により変化しますが、最も重要なことは可能な限りオリジナルの情報を保つことです。私共で主に行っている、分散法、ミクロトーム法、Arミリング法、FIB(Focused Ion Beam)法について、その特長を以下に説明します。
- 分散法:
試料をそのままの状態であるいは粉砕した後、溶媒中に分散し、分散液をマイクログリッドに滴下します。グリッドにはカーボン支持膜が有る無しの2種類があり、どちらを選択するかは分析内容により決定されます。 - ミクロトーム法:
ダイヤモンドナイフを用いて、試料を薄く切断し、100nm前後の薄片を作製する。柔らかい試料(例えばポリマー)は液体窒素で冷却します。染色方法との併用も可能ですが、適用できる材料はある程度制限を受けます。 - Arミリング法:
バルク試料や基板を有する試料を、まず機械的に加工し厚みを数10μmまで薄くし、最後にAr+イオンを照射することにより、試料中の結合を切断しながら薄片化します。照射ダメージはArイオンのエネルギーに依存します。 - FIB法法:
SIM(Scanning Ion Microscopy)やSEM(Scanning Electron Microscopy)で観察しながら、目的箇所にGa+イオンを照射し薄片化します。Arイオンに比べるとダメージは非常に大きいですが、GaイオンダメージをArイオン照射で除去することも可能です。
ルギーに依存します。
試料作製方法 | 適用材料 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|---|
分散法 | ・微粒子 ・触媒中の金属粒子 ・カーボン材料(CNT) |
・短時間に試料調整 ・ダメージフリー (粉砕なしの場合) |
・粉砕すると機械的ダメージが
試料に混入 ・支持膜の情報が混入 |
ミクロトーム法 | ・ポリマー ・金属 ・ポリマー複合材料 |
・ポリマーに最適 ・染色技術を併用 ・広範囲を薄片化 |
・機械的ダメージ ・適用材料に制限有り ・数nmの薄片化不可 |
Arミリング法 | ・セラミックス ・金属複合材料 ・各種膜/基板材料 |
・照射ダメージ小さい ・厚み数nmの薄片化 ・GaN、GaAsに有効 |
・水・溶媒と接触する ・均一な薄片化困難 ・広範囲の薄片化不可 |
FIB法 | ・表示材料(液晶,EL) ・Si半導体、LD、LED ・各種膜/基板材料 |
・微小領域の薄片化 ・機械的ダメージ無し ・水・溶媒と接触なし |
・照射ダメージ大きい ・広範囲の薄片化不可 ・局所的に温度が上昇 |