S313
収束電子線回折像シミュレーションプログラム
収束電子線回折(CBED)では試料上に電子線を収束させて回折像を得ることにより、各回折点は強度分布を持つディスク状になります。この強度を解析すると多くの結晶学的情報が得られます。CBED像シミュレーションプログラムは、TEM像シミュレーションと同様に、試料の結晶情報、装置・測定条件の情報を与えることで、CBED像を計算します。
例として、日本電子製JEM-2010F(加速電圧200kV)でGaN (1-100)について、試料厚みの異なる2点を測定したCBED像を図1に示します。GaNは成長方向に極性(Ga面またはN面)が存在し、その情報が上下ディスク(矢印部)間での非対称な強度分布として表れています。しかし、その強度分布は試料厚みにより変化することからも分かるように、強度分布の解析にはシミュレーションが不可欠です。実験データをそれぞれ再現するシミュレーション像を図2に示します。両者の比較から本試料はN極性と判断できました。