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プッシュアウト試験による繊維強化樹脂の界面強度評価
複合材料は力学的性質に大きな差異がある材料の組合せにより作られます。このような異種材料を複合化する場合、異種材料間の界面の性質が複合材料の性質に大きな影響を及ぼします。たとえば、界面の強度が低いと複合して得られた材料の強度は、低い界面強度によって支配されます。このため、高強度材料を複合してもその高い強度を十分に複合材料の強度に反映することができません。
界面強度の評価法には、モデル材料を用いたマイクロドロップレット試験(技術資料「マイクロドロップレット法による繊維と樹脂の界面せん断強度測定」)や実材料を用いたプッシュアウト試験などがあります。
プッシュアウト試験とは、薄片化した試料中のミクロンオーダーの繊維一本を先端が平坦な圧子で押出すことで繊維/樹脂の界面せん断強度を計測する方法です。プッシュアウト試験の概略図を図1に示します。界面せん断強度(τ)は、はく離発生と推察する変曲荷重(F)と、繊維/樹脂の接着面積(π×繊維径d×膜厚L)から算出します。
実施例を図2に示します。界面せん断強度は約50MPaでした。また裏面のSEM写真より、界面はく離が観察されました。
図1:プッシュアウト試験の概略図
図2:炭素繊維/エポキシ樹脂のプッシュアウト試験結果