M1702
電子エネルギー損失分光
(Electron Energy Loss Spectroscopy, EELS)
1. 原理
EELS法は、入射電子が試料物質との相互作用によりエネルギーを失った非弾性散乱電子を分光することで (図1) 、試料の元素組成や化学結合状態を解析する手法です。
2. 特徴
(1)高エネルギー分解能
冷陰極電界放出型電子銃(Cold-FEG)を有するJEM-ARM200Fに搭載することで、高エネルギー分解能のスペクトルが取得可能です。
(2)Dual EELS
異なるエネルギー範囲のスペクトルを同時取得可能です。例えば、注目元素の吸収端エネルギーが離れている場合や、ゼロロスピークを用いてエネルギー補正する場合に有利な機能です。
(3)加速電圧の可変性
JEM-ARM200Fの幅広い加速電圧(30 〜 200 kV)から適した条件を選択できます。
3. 仕様
Gatan製 Enfinium
4. 測定例
hexagonal -BNの測定例を図2に示します。新型検出器で取得したスペクトルでは、π*ピークの先鋭化や、σ*ピークの微細構造を確認できます。
図1:EELS検出器の模式図 | 図2:B-K吸収端(hexagonal-BN)の EELSスペクトル(加速電圧120kV) |