AN1602
誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)
1. 型式
アジレント・テクノロジー製 Agilent 8800型
2. 原理
アルゴンプラズマによりイオン化された元素の質量を測定することにより、試料中の微量元素の分析を行う。
図1:装置構成図
3. 特徴と性能
- 主に液体試料について極微量レベルの金属元素の定性、定量分析が可能。
- 四重極質量分析計により迅速な多元素同時分析が可能
検出限界 ppq 〜 ppb(測定溶液の濃度として) - タンデム型(四重極-反応セル-四重極)配置を有する。
- 有機溶媒導入システムによる有機溶媒の直接導入測定が可能
4. 分析依頼の際の留意点
試料に対する容器、雰囲気からの汚染が無視できませんので、試料採取、送付の際には十分ご配慮下さい。
5. 測定データ例
マスシフト法により、これまで測定困難であった Si、 P、 S等の測定や共存元素の濃度が高い試料の測定にも対応可。その原理とリンの測定事例を示します。
図2:マスシフト法概念図
図3:マスシフト法によるリン(47PO+)の検量線
リン(31P+)を測定しようとした場合、大気や硝酸試薬から生成される31NOH+や31NO+などの干渉分子イオンの影響により測定ができませんでした。タンデム構成を有する本装置では分析種イオン、干渉分子イオンと反応ガスとの反応性を利用することで、リン(31P+)をチタン(47Ti+)の影響から回避でき、47PO+として測定できるようになりました。
PAHs18成分のGC/MSマスクロマトグラム