AN1320
発生ガス質量分析計
EGA-MS: Evolved gas analysis Mass Spectrometry
1. 特 徴
- 試料を加熱した各温度におけるガスの発生状況を調べられます。
- 従来のTG-MSに比較して、約10倍以上の高感度で測定することができます。
- 1,000℃までに発生する水とCO2は定量することができます。
本装置の特徴
He雰囲気だけでなく、擬似空気下でも測定することができます。
2. 原理および概略図
試料を熱分解炉中に設置し、昇温していく際に発生するガスを質量分析計で測定することにより、ガスの発生状況を調べます。
図1:装置写真 | 図2:装置の概略図 |
3. 性能
熱分解炉部 | |
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温度範囲 | 40℃〜1,000℃ |
雰囲気 | He、疑似空気 |
昇温速度 | 1〜100℃/min |
MS部 | |
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質量範囲 | m/z=2〜1,090 |
分解能 | R≧2M(FWHM) |
感度 | 1pg OFN m/z=272でS/N≧500 |
イオン化 | EI |
4. 試料の形状、サイズ
試料量 | 1mg以上 |
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6. 分析依頼時の留意点
発生ガスが非常に少ない(数百ppm以下)ものは、検出されない場合があります。
7. 測定データ例
1) He雰囲気下でのPVCの熱分解挙動の分析
He雰囲気下でのPVCの熱挙動を調べると、300℃付近で HCl、H2Oが発生していることが 分かります。
図3:He雰囲気下でのPVCの熱分解挙動の分析
2) 擬似空気雰囲気下でのPVCの熱分解挙動の分析
擬似空気雰囲気下でのPVCの熱分解挙動を調べると、300℃付近でHCl が、450℃〜500℃の範囲で CO、CO2、H2O が、550℃からCO2 が発生していることが分かります。
He雰囲気だけでなく擬似空気雰囲気下で測定を行うと、実際の使用状況における材料の熱分解挙動がより詳しく解析できます。
図4:擬似空気雰囲気下でのPVCの熱分解挙動の分析
8. 適用例
- 加熱時発生ガスの温度依存性を調べます。
- 樹脂の加熱時に発生する成分の温度依存性。
- セラミックの加熱時に発生する成分の温度依存性。
- LIB電極の加熱時に発生する水分およびCO2の定量。