沖ノ山出土の中国古銭及び埋納甕
1760年(宝暦10年)に書かれた掘出覚によると、これらは、1740年(元文5年)に沖ノ山松浜の砂中から発見された銅銭のつまった壺で、当時の領主福原元貞公に献上されたと伝えられるものです。
甕は弥生時代中期後半(紀元前1~1世紀)の朝鮮系の土器で、その中に納められていた銭は、半両銭17枚と五銖銭78枚です。銭は中国の前漢時代のものと思われますが、このように当時代の銭が多量に出土した例は国内にはありません。
西暦1世紀前半から中期にかけて、朝鮮半島から北部九州を経由してもたらされたと考えられ、古代中国大陸・朝鮮半島・日本列島にまたがる文化の交流を示す貴重な資料です。
1985年10月 | 中国古銭及び埋納甕 山口県指定有形文化財(考古資料)に指定される |
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1985年11月 | 日中貨幣展(上海博物館)へ貸出し |
1986年 7月 | 青銅器発掘展(北九州市考古博物館)へ貸出し |
1986年10月 | 貨幣の歴史(下関市立長府博物館)へ貸出し |
1989年 8月 | 特別展「発掘された古代の在銘遺宝」(奈良国立博物館)へ貸出し |
福原家文書
福原家で家伝の主要文書「什書」として整理されたもののうち、まとまった文書を収めた巻子17巻、273通です。
鎌倉時代末期から江戸時代末期までのものですが、大部分は南北朝時代から室町・戦国時代、江戸時代前期にかけての文書です。長井氏や毛利氏の安芸国での成長過程、あるいは関ヶ原以後、毛利藩成立段階における動向等を伺うことができます。文書の様式としては、足利尊氏をはじめとする室町将軍家の御教書、山名・大内氏等大名、織田信長・豊臣秀吉の書状、元就・隆元・輝元・秀就等、毛利当主の書状が中心で、1625年(寛永2年)の宇部村ほかの配所付立(写真左上)も収められています。福原家文書は、鎌倉時代末期から大正時代に至る福原家伝来の文書群でその内容は藩政・家政・知行地支配関係等多岐にわたり、現在1,381件の資料を資料館で保管しています。
当財団では福原家文書を38年の歳月をかけ解読・整理をすすめ、上巻・中巻・下巻・別巻の4冊にまとめ出版いたしました。なお在庫は宇部市立図書館に寄贈しておりますので、購入をご希望の方は、下記にお問い合わせ下さい。
- 上巻(606頁) 6,000円
- 中巻(732頁) 8,000円
- 下巻(559頁) 6,000円
- 別巻(576頁) 5,000円
- 販売・お問い合わせ先
- 宇部市立図書館
- 山口県宇部市琴芝町1丁目1番33号
- 0836-21-1966
福原家文書発刊の経緯
1960年 5月 | 福原家より千数百点に及ぶ文書を譲り受け、宇部市立図書館に寄託 |
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1963年 3月 | 三坂圭治氏(当時山口大学教授、後山口芸術短期大学副学長)、国守進氏(当時山口中央高校教諭、後山口女子大学教授)両氏により調査、分類、福原家文書目録刊行 |
1967年~80年 | 利岡俊昭氏(当時下関西高教諭)により文書の解読が進行 |
1980年11月 | 渡辺翁記念文化協会として資料集を出版することを決定 |
1981年 1月 | 三坂圭治氏監修を受諾 |
1981年 2月 | 中巻・下巻の解読作業を強化するため、スタッフを増員 |
1983年 3月 | 福原家文書・上巻刊行 |
1988年 5月 | 福原家文書・中巻刊行 |
1995年 5月 | 福原家文書・下巻刊行 |
1998年 3月 | 福原家文書・別巻刊行 |
2003年 4月 | 「福原家文書」宇部市指定有形文化財に指定 |
2013年 9月 | 福原家文書・在庫を宇部市立図書館に寄贈 |