宇部興産株式会社(社長:常見和正)は、このたび、タイにおけるグループ会社TSL(THAI SYNTHETIC RUBBERS CO., LTD.)において、合成ゴムの一種であるBR(ブタジエンラバー)の増設を決定した。2006年1月完成を目指し、年産能力を現状の56,000トンから72,000トンまで引き上げる。
当社のBRは、コバルト触媒を用いてブタジエンを多段重合して作られる合成ゴムであり、耐磨耗性・加工性に優れているため、タイヤ、家電・OA機器用ポリスチレン改質材向け等に需要を伸ばしており、国内・海外の大手タイヤメーカーやポリスチレンメーカーに幅広く納入している。
生産能力は、特殊品を中心とする千葉石油化学工場で年間85,000トン、汎用品を中心とするタイのTSLで年間56,000トンであり、アジアでは最大。今般の増設が完了すればBRの世界シェアとして10%に近付くことになり、独立系BRメーカーでは世界トップクラスとなる。
BRの需要は2002年第2四半期以降、日本のタイヤメーカーの増設などにより世界的に回復基調で、ポリスチレンの改質用途向けも伸長していること等により、国内海外共に非常に好調に推移しており、この傾向は今後も継続すると予測される。
一方で原料ブタジエンについては、現在も供給不足と価格高騰が続いている。当社は千葉地区に丸善石油化学(株)との合弁会社「千葉ブタジエン工業(株)」を有しているため、安定調達とコスト競争力の面で強みを発揮している。
また、今般のTSLにおける増設にあたっても、原料ブタジエンの安定調達は必須条件であったが、これについても既に確保した。
当社はBRの戦略として「特殊品への更なる特化」と「他社製品との差別化」を推進しており、この戦略に従って、タイヤ向けの特殊品であるVCR(Vinil Cis Rubber)やポリスチレン改質材向けの二峰性グレードも伸長させている。今後も旺盛な需要に対応すべく、世界二極体制にて事業拡大を図っていく。
設立 | 1995年12月 |
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工場所在地 | タイ国ラヨン県 |
株主 | 宇部興産73.1%、丸紅13.0%、TSRC Corporation(台湾)13.0% 他 |
生産能力の推移 | 50,000トン(1998年1月操業開始) 56,000トン(2004年6月デボトルによる能力増強) |
代表 | Dr.Charunya Phichtitkul(宇部興産(株)執行役員兼務) |
従業員数 | 80人 |
売上高 | 2,015百万バーツ(2003年実績) |