旭硝子株式会社(社長:石津進也)と宇部興産株式会社(社長:常見和正)はそれぞれのフッ素系樹脂、ナイロン12樹脂の双方を必須とする2層チューブシステム「SUNBESTA™」を共同で開発した。
従来より、旭硝子はフッ素系樹脂(商標:Fluon®)を、宇部興産はナイロン12樹脂(商標:UBESTA)を販売しているが、両社は、「SUNBESTA™」用の特別なエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)樹脂とナイロン12樹脂の開発及びチューブシステム化に世界で初めて成功し、主として自動車燃料用チューブ向けにそれぞれ販売を開始する。
フッ素系樹脂は燃料透過バリアー性、耐薬品性に優れ、またナイロン12樹脂は柔軟性・耐低温衝撃性、耐薬品性に優れているため、両材料から構成される多層システムは、環境保護の観点から近年強化・推進されている、自動車の燃料蒸散規制やアルコール燃料など代替燃料の使用に対応するものとして、従来から自動車メーカーに採用されていた。
しかしながら既存システムでは、フッ素系樹脂とナイロン12樹脂との間に接着材層が必要であり、また接着強度や耐久性が不十分であるために性能が劣化するなどの難点があったため、両社は、それぞれの樹脂本来の特性を生かしながらこれらの点を解消し、通常の共押出成形で相手樹脂と強固に接着する材料の開発に成功した。
すでに両社は国内外の顧客に対しサンプルワークを開始しており、既存システムを凌駕する良好な評価結果を得ている。また、自動車燃料用だけではなく、各種産業用チューブ・ホースとしての利用も可能であり、幅広い分野での用途開発も合せて進めて行く計画である。
「SUNBESTA™」システムの特徴は次のとおり。
旭硝子は欧州・米国にもフッ素樹脂の生産・販売拠点を持ち、また宇部興産は宇部工場での生産に加えスペインでもナイロン12樹脂の生産を検討中で、両社は日本国内だけでなく米国、欧州での市場展開も積極的に進めていく。特に燃料蒸散規制が強化されている米国での需要が急速に伸びており、旭硝子、宇部興産はそれぞれ2007年には75億円、35億円の販売を見込んでいる。
なお、本製品は本年5月21-23日にパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展:出展者 旭硝子」及び同6月23-27日に米国シカゴのマコーミックホールで開催の米国最大のプラスチックショーである「NPE展:同 宇部興産」に出展する予定。
「人とくるまのテクノロジー展」 http://www.jsae.or.jp/2003expo/
「NPE展」 http://www.npe.org/